マチの寝床

上山皓生・喜多崎匠・水野豪人・大同康友・津戸新太
2023年度支部共通事業 日本建築学会設計競技

舞台は福井県あわら市の北潟湖。かつて漁やウナギ漁を中心に、人と生き物と道具がにぎわっていた湖ですが、人口減少や道路整備によって集落との結びつきが薄れつつあります。この作品は、その関係を大きな建物で取り戻すのではなく、地域に眠る「モノ」をもう一度集めることから始めます。

向かい合う既存ガレージを生かし、間に湖へ向かって広がる大屋根を架けた空間は、人と道具のための巨大な“寝床”です。漁網、パイプ、廃材、手づくりの仕掛けなどが持ち寄られ、屋根や床、間仕切り、家具へ姿を変えます。物が増えたり減ったりするたびに居場所も変化し、修理する人、釣りをする人、遊ぶ子どもが自然に出会います。

面白いのは、不要品を単に再利用するのではなく、それぞれの記憶や使い方まで建築に組み込んでいる点です。人がモノを持ち寄り、加工し、使い、再び持ち出す循環が、湖と集落を結ぶ新しい日常になります。失われかけた風景を昔のまま保存せず、住民の手で更新し続ける「マチの居間」をつくる提案です。

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