身長の印をつけた柱や、頭をぶつけた鴨居のように、家の高さはふとした瞬間に思い出を呼び起こします。この住宅は、家族の成長に応じて見え方や使い方が変わる腰壁、窓、床、段差を『記憶の媒体』として組み込みます。
子どもがよく使う場所へ向かって空間を広げ、部屋を鉛直方向に少しずつずらします。異なる高さの床や開口が、座る、立つ、のぞく、またぐといった多様な姿勢を誘い、家族同士の視線や気配を柔らかくつなぎます。
同じ場所でも、幼い頃と大人になってからでは身体のスケールが違います。その変化が、過去と現在を比べるきっかけになり、未来の暮らしへの期待も生みます。完成時の姿だけでなく、住む人の成長によって意味が増えていく、家族の時間を測る住まいです。
山下将輝
第29回北陸の家づくり設計コンペ「つなぐ家」

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