光の先に見えるもの

福井市中央卸売市場を、食べ物を運ぶためだけの閉じた施設から、市民が仕事の気配や地域の歴史に出会える場所へ変える改修案です。注目したのは、市場棟と卸売棟の両方にあるトップライト。屋根から差し込む光を手がかりに、働く人と訪れる人、過去と未来をゆるやかにつなぎ直します。

約80メートル離れた二つの建物の間には、駐車場を横断する大屋根の回廊を架けます。曲線を描く屋根の下を歩けば、商品の移動や競り、市場の店先など、普段は見えにくい「生業」が風景として立ち現れます。通路を地上から持ち上げることで車と人の動線を分け、安全に市場を巡れる仕組みも生まれます。

内部では、光を見る、空へ登る、ファサードをくぐる、生業を知る、といった十の体験を連続させます。空き店舗には市民が使える機能を加え、卸売棟では吹き抜けや見学回廊から作業の声や匂いまで感じられる計画です。市場の雑多さを消すのではなく、積まれた箱や店先の品、働く人の工夫を魅力として見せる点が、この提案の面白さです。

上野亮登、加藤穂高、喜多崎匠、山本輝樹
2023年度支部共通事業日本建築学会設計競技「環境と建築」

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