日常から「死」が遠ざかり、墓参りの文化も薄れつつある今、墓地をただ墓石が並ぶ場所ではなく、自分と故人、そして土地との距離を測り直す場所として考えた作品です。舞台は福井市郊外の深谷霊園。山の斜面、湧き水、遠くの都市景観を一つの体験に結びます。
敷地には、地形を覆ったり潜ったりしながら伸びる長い階段と、空中の展望台が置かれます。階段の中央を流れる水をくみ、墓石へ運ぶ行為は、故人へ近づく時間そのものです。高い展望台に立てば、墓地、山、街を同時に眺め、長い時間の流れを感じられます。
等間隔の鉄骨は土地に合わせるのではなく、土地を測る巨大な定規のように立ちます。しかし測られるのは地形だけではありません。歩く人は、会ったことのない祖先まで含む死者の時間と向き合い、自分の現在地も確かめます。墓参りという身近な習慣を、身体で土地と記憶を読み直す旅へ変えた静かな建築です。
安田壮馬、上野亮登、﨑田真一朗、伊東舜滋
2022年度支部共通事業 日本建築学会設計競技

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